沖縄県うるま市の中高校生が出演している現代版組踊「肝高の阿麻和利」。
沖縄に古くから伝わる伝統芸能「組踊」をベースに、現代音楽とダンスを取り入れて、勝連城10代目城主「阿麻和利」の半生を描く、いわば「沖縄版ミュージカル」。 1999年に、当時の勝連町教育委員会が、子ども達の感動体験と居場所づくり、ふるさと再発見・子どもと大人が参画する地域おこしを目的に企画したものです。
最初のオリエーテーションに集った子どもの数は、わずか7名。しかし、本番までの3ヶ月間、教育委員会や演出家の平田大一さんらよって行われた地道な努力が功を奏し、2000年3月下旬に行われた舞台本番当日、最終的に集った出演者の数は150名。観劇者数は2日間公演で4,200名にも及びました。この「勝連城跡」にて実現した奇跡の舞台が、今も続く「肝高の阿麻和利」の記念すべき第1回目の公演となったのです。
当初、公演は1回限りの予定でしたが、出演した子ども達が再演の願いを込め、感想文と嘆願書を作成し、教育委員会へ提出。その熱意により、「勝連城跡」での再演が決定。
その際、生徒達に対して、よりきめ細やかなフォローを実現するために、現在の「あまわり浪漫の会」の前進でもある「父母の会」が設立され、子ども達を支援する仕組みを作り上げました。また、出演対象者も広がり、新たに与勝高校の生徒も含め、与勝地域の中学生と高校生による活動が開始することになりました。
その後、何度か世代交代をしながら進化を続け、2003年には関東公演、2005年には国立劇場おきなわ公演、2007年には自主公演による勝連城跡公演、2008年には歴代の先輩方の夢であった初の海外公演『ハワイ公演』を実現。2009年には倉敷・東京・盛岡・福岡公演を行い全国へ肝高き心を発信しています。現在は、合併により出演者をうるま市(具志川市・石川市が加わる)の中高校生に広げています。
2000年3月初演以来、公演回数361回を数え、観客動員は延べ20万人を達成!舞台だけでなく、子ども達の居場所づくりや人材育成、地域づくりの場として県内外から注目を浴びています。
舞台は、真夜中の勝連城跡。
学校内では、年に一度の「幻の村祭り」なるものが噂になっていた。その真偽を確かめるため、こっそりと城跡に忍び込んだ子ども達。
そこで子ども達は、謎の老人「長者の大主」と出会う。突然、雷鳴の中から現れた「肝高神」から渡された巻物には『阿麻和利の乱』の真実が書き記されていた。勝連城10代目城主だった阿麻和利とは、一体どんな人物だったのか?
きむたかの子たちは、巻物の内容を読み解くうちに、1456年当時の勝連にさかのぼり、歴史の闇に閉ざされた民草の王としての、真の阿麻和利の姿に近づいていくのだった…。
【用語解説】